5.映画「ナースコール 」を看護師から見た印象シーンと考察(ネタバレあり)

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2026年3月6日に日本で劇場公開された「ナースコール」というスイス・ドイツ合作の映画はご存知ですか?この映画は第98回アカデミー賞国際長編映画賞<ショートリスト>にも選出され、看護師の間で話題になっている作品です。現在ではすでに全国の多くの劇場で上映が終了していますが、東京都内では「Morc阿佐ヶ谷」などの一部ミニシアターで上映されています。(2026年6月22日現在情報)また、「U -NEXT」でも見ることができます。

描かれている「看護師の人手不足と医療現場の過酷な現実」は日本だけでなく世界中で向き合わなければいけない現実であると感じます。私が看護師としてこの映画を見て感じたことを記載していこうと思います。

1|映画「ナースコール」の描かれている描写

この映画の描写について説明します。主人公のフロリアが勤務している病院は州立病院で病棟は消化器外科病棟。スタッフ1人が病欠のため25人の満床病棟を看護師2人で遅番勤務している状況です。スタッフ2名の他にも看護学生が1名いる状況です。

1-1|印象的なシーン(ネタバレあり)

主人公のフロリアは熱心な看護師で時間があれば患者のベッドに腰掛けて寄り添い手を握るなど印象的なシーンがあります。これが看護師の理想的な姿であると思います。ですが現実は、時間通りに投与しなければいけない抗生剤を時間通りに患者さんのところにいけない、手術や検査の出し迎えが重なり、ひっきりなしのナースコールの対応に追われます。患者さんの病状説明は看護師が行えないため医師に意見するようなシーンもあります。やっと患者さんのベッドサイドに行けたとしても点滴を交換してバイタルサインを測るだけのたった5分程度しか関わることができません。患者さんや家族から「全然来ないじゃないか」と苛立たれることも多くあります。看護師も人間です。人間は一度に何個も課題をこなすことは不可能です。看護師は多重課題を抱えながら常に優先順位をつけて行動している。この映画は病棟看護師の忙しさをとてもリアルに描いていると感じました。

 そんな中、薬剤アレルギーのある患者さんに間違って鎮痛剤を投与しアレルギー反応が現れます。すぐに医師を呼んで対応したため大事には至りませんでしたが、フロリアは自分を責めてしまいます。そして追い討ちをかけるように13人の受け持ち患者の中で最後の順番となってしまいベッドサイドに行けていなかった患者さんの急変。心肺蘇生を試みますがこの患者さんは亡くなってしまいます。家族から「一回も来なかったな」と怒鳴られ涙を流すシーンがあります。これはフロリアの「申し訳なさ」を描写しているシーンであると感じました。本当は1人1人の患者さんと関わってあげたい。もし自分が早めに患者さんのベッドサイドへ行けていたら体調不良の予兆に気づくことができたかもしれない。こうした一つの行動が患者さんの命に直結している仕事であると改めて身の引き締まるシーンでした。

 そして一番印象に残っているシーンは、高額の民間保険に入っている個室の患者さん。この患者さんは高い時計をいつも身につけて「25分来なかった」などと時間を測って文句を言います。この日は「ペパーミントティーを持ってこい」という看護師の仕事の中では優先順位が低くなるような内容でした。やっと個室の患者さんの元へ行けたのは受け持ち患者さんの死後の処置が終わった後、フロリアの心はギリギリの状態でした。このため文句を言うこの個室の患者さんに向かってフロリアは暴言を吐きながら高い時計を取り上げ、窓の外に投げ捨ててしまいます。ステーションに戻って同僚の顔を見ると大笑い、完全に狂って頭がおかしくなっている状態です。これは映画ですが実際に患者さんと言い合ったり喧嘩になったりすることはよくあります。この場面、看護師だって人間だ、限界があるのだと言う表現の現れだと深く感じました。落ち着いたタイミングで外の草むらの中から時計を探しますが見つかることはありません。フロリアは個室の患者さんに謝罪に行きます。そこでこの患者さんは「なぜ僕が膵癌なのか、ちくしょう!」と涙を流しながら本音を吐露します。フロリアは手を握って寄り添います。実際に不安や恐怖心を持っている患者さんは多く、それを看護師にうまく伝えられずに怒りや暴言となって吐き出す患者さんは多くいます。寄り添って看護できていれば少しでも患者さんの不安を取り除けるのにと看護師は思います。

その日に新調した新しい靴が勤務を終えてロッカーに帰る頃には真っ黒になっている。仕事が終わってやっと一息つける帰りのバスの中、隣で肩を貸してくれる女性は亡くなった患者さん。フロリアの日常は続いていきます。

1-2|患者さんや患者さんの家族が共通で看護師に求めることとは

病院に入院している患者さんに全て共通して言えることは、「いつでも看護師に寄り添ってほしい」ということです。看護師も「一人一人とゆっくり寄り添って看護師したい」それが理想です。お互い共通しているのになぜ現実は厳しいのか、問題は看護師不足です。

2|医療の現状とまとめ

理想の看護師になりたくて一生懸命勉強して厳しい実習を乗り越えて国家試験に合格する、晴れて看護師になれたのに現実は患者さんと関わる時間も少なくてやらなければならない課題で疲弊していく。成り手が多くても現実を知った看護師の退職率が高く、復帰しないため潜在看護師が多くいる現状です。看護師不足は世界的な問題でWHOの予想では2030年までに1300万人が不足すると言われています。看護師の労働環境が改善され、一人一人が看護師として誇りを持って働けるようになれば退職率は下がります。看護師不足が改善され、理想の看護師として働けるようになる日を私も望んでいます。

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